◼️ なぜ作ったのか
コンパクトでシンプルなファニーパックを長年使っていたんだけど、僕には物足りませんでした。
登山やバイクパッキングでは「運ぶものはザック、行動中に使うものは手元に」という使い方が自然だったから、小さくて、動きの中で扱いやすい形は必須だった。
ただ、コンパクト一辺倒だと、汗をかいた時の脱いだウェアやグローブの行き場がない。テント泊でも小物が散らかる。
「小ささ」と「一時的に増える荷物」の両方に対応できるファニーパックがほしかった。
既製品にはなかったから、自分で作ることにした。
◼️ 形の理由
●テーパードの本体形状
• カーブで立体感をつくり、テーパーでデッドスペースをなくして収納効率を上げる
• テーパーは足上げ・漕ぎ・座り動作の干渉を最小限にする
• 斜め上向きのカーブファスナーは装着時に自然な角度で開閉する
「歩く・動く」を前提にすると、直線ではなくテーパーやカーブのほうが素直に身体に馴染む。
●防水テープ処理を捨てた
• カーブ構造とシームテープは相性が悪い
• テープは経年で硬化し、縮みや剥離が必ず起きる
• 止水ファスナーも完全防水ではなく、浸水は避けられない
防水優先の直線構造ではなく、動き優先の立体構造を選ぶ方がリアルだった。
濡らしたくない物はジップロックを入れれば済む。ここは割り切った。
●外付け機構の3点構成(フロント / トップ / 背面)
コンパクトさは維持したかったので、本体を大きくせず、外付けで可変容量をつくる構造にした。
• フロント:ショックコード
一時的に脱いだウェア、グローブ、手ぬぐいなど。行動中の“ちょい置き場”。
• トップ:ストレッチメッシュ
サングラスや軽い物。干渉の少ない位置で雑に挟める。
• 背面:スマホポケット
重くて形の大きいスマホは、体側で押さえるのが一番ブレない。
内部のインナーポケットは、鍵・カード・小物の落下を防ぐために配置した。
◼️ 使い方の幅
• 登山
行動中に脱いだウェアの一時固定。
ヘッドライト・行動食・手袋・スマホなどを全部腰まわりだけで完結できる。
• 自転車
漕いでいるときの足上げ干渉が少なく、ブレにくい。
荷物は固定バッグに任せて、Boostは行動の手元ポケットとして使える。
• 普段使い
スマホ・財布・鍵をまとめて、ちょっと出かける時にちょうどいい。
トップのメッシュが思った以上に便利で、バンダナや手袋をサッと挟める。
• キャンプ・テン泊
テント内の小物を全部まとめておけるので、朝はそのまま腰に巻いてスタートできる。
Boostは収納ではなく、動きながら使うためのポケットの延長みたいな存在。
その感覚を形にすると、自然とこの構造になった。

